カインドの吉沢 秀明です。「カインドの思い」


飯田市の名物靴屋はこうして生まれました。

1951年 靴屋の長男として、東京品川で生を受ける。

1953年 父親が長男ということで、実家の信州飯田へ。

そして、父親が靴屋を開業する。

物心ついた時から周りは靴ばかりで育つ。

「長男だし将来は、後を継がなきゃいけないのかなあ」なんて漠然と思いつつ少年期を過ごす。

1970年 母の勧めもあり公認会計士をめざし中央大学へ進学。

しかし、2年生も終わりになるころ、どうも自分には公認会計士は向いてないなって感じ、将来の仕事について迷いが生じてくる。

物心ついた頃からずっと靴に囲まれて育ちました。
物心ついた頃からずっと靴に囲まれて育ちました。
愛車でお客様をお出迎え
愛車でお客様をお出迎え

友人の一言が転機に

そんな時、大学の友人から一言・・・

「お前はいいよな。親父が店をやってくれてるから。何もないものから何かを立ち上げるのと、何かあるところからスタートするのでは、雲泥の差だよ。」

そうか、小さくても店があるんならそれを活かしてやってみようと、結果的には後を継ぐ決心をする。それを告げた時の両親は、半分うれしいような、将来の苦労を想像するやらで複雑な表情だったのを今でも覚えている。

1974年 大学卒業後は、修行のため、ダイアナ靴店へ就職。

銀座本店、大阪戎橋店勤務の後、

23歳でカインド靴店へ。

仕事とは世の中の役に立つことをしなければという思いで毎日を過ごす中、

靴屋を継ぐことにしたことに特別な思いやこだわりがあったわけではないので、

「自分のしていることはどうなんだろう?」と考えると

答えにつまってしまった。

「シューフィッター」との出会い

お客様の希望する靴を、ただ販売すればそれでいいのだろうか?

売れればそれでいいのだろうか?

父親の跡を継いだものの、仕事に対する目的を見失いかけていた。

そんな時、「シューフィッター」というものを知る。

いずれその資格を取りたいと思っているとき、いち早く父親が資格を取得する。

1990年 続いて自分でも取得。しかし・・・

資格を取得しても、当時は、「シューフィッター」が世の中で認知されていなかったため、まだ実際には店頭で何の役にも立たないことがわかり、再び悶々として過ごす毎日。

「シューフィッター」の資格を取得したことで、足と靴についての興味が増し、いろいろなセミナー等に足を運ぶようになる。

売れればどんな靴を売ってもいいのか?

足のことを知れば知るほど、奥が深いことを知る。

そして、自分で販売している靴に対しての疑問がますますわき始める。

それとともに、毎日の接客で、お客様の足の変形にも気づき始める。

お客様が望むものなら売れればどんな靴を売ってもいいのか?

「足にとって本当にいい靴」とはどんなものかを

お伝えしなければいけないのではないか。

特に子供の足の成長過程を知ることで

「大人の足のミニチュアではない」という子供の足の事と、

日本には本当に子どものための靴が少ないことを知る。

特に子育て中のお母さん方にこのことをお伝えしなければいけないのではないか。

一方で、高齢者の方がいつまでも自分の足で歩き続けることが出来るにはどうしたらいいんだろう?

足のケアと足に合った靴選び、正しい履き方が重要なことを知る。

そうだ!!これこそ世の中の役にたつ仕事ができる!

足の健康を損なわない靴選びのお手伝いをすることは、

重要な仕事になると確信する。

大型ショッピングセンターの時代が到来

だが、まだまだ、「シューフィッター」は認知されてもいない時代なので、

急激に店の方向転換をすることはできなかった。

少しづつ足の健康のための品ぞろえを進め、店の方向転換を始める。

そのころから、マスコミ等でも「外反母趾」等の足の障害について取り上げてもらえる機会が増えだし、

徐々に、世の中も足の健康について理解をはじめ、

「シューフィッター」の認知度も、徐々に高まり始める。

その頃、大型ショッピングセンターの時代が到来し、

飯田でも大型店出店の話がいくつも持ち上がるようになる。

将来的に商店街での営業に不安を感じ、出店の話を進めるも、

条件が合わず出店断念。

「足の健康と靴を考える店 カインド」の誕生


1995年 郊外にサティ(現イオン)、アピタが相次いで出店。

1997年には、ジャスコ(現イオン)も出店。

これを契機に、一層、足の健康のための靴屋としての店づくりをするよう

大幅に方向転換する決意をする。

 

「足の健康と靴を考える店 カインド」の誕生!

 

1999年 もっと自分を高めたいと思い、

「バチェラー・オブ・シューフィッティング」」(上級シューフィッター)を、夫婦で取得。

それと同時に、自分の知識不足や経験不足を痛感し、

さらに足の勉強をしなければならない使命感のようなものを感じる。

そして、ますます足の奥深さを知ることに・・・

本当に靴屋でよかったと思う


いろいろな方と出会い、

アドバイスを頂いたりする中で、新しいものの見方や発見を経験し、

知識不足、経験不足を少しでも補うことができ、感謝と勉強の毎日。

「この間買った靴、すごく良かったに。旅行に履いて行っても疲れんかった。」「履き心地がいいもんで、こればっか履いとる。」

「ここの靴を履くと、ほかの靴が履けん。」

こんな嬉しいお言葉を頂戴するたびに、やりがいを感じ、

「本当に靴屋でよかったと思う。」

お客様のお役にたつためには、まだまだ勉強です。

 

令和元年(2019年)6月からは、さらにお客様のお役に立てるように、

「マスターシューフィッター」の資格取得に挑戦しました。

新しいことを学ぶにつけ、ますます足の為には、靴が重要だということと、

その為には、本当に足の為にいい靴とは何かを、

お伝えしなければならないという気持ちが強くなってきました。

途中、コロナの為にスクーリングが約1年間休止となりましたが、

その間も、webセミナーで、様々なことを、教えていただきました。

このwebセミナーもすごく学びになりました。

足の関節の動きや筋肉の働きを意識したフィッティング、つまり歩行を意識したフィッティングが出来るようにならないと、

本当にお役に立てるフィッティングはできないと痛感しました。

素晴らしい28名の仲間と一緒に学ぶことが出来て、

ようやく令和4年(2022年)6月に、マスター・オブ・シューフィッティング(マスターシューフィッター)の資格を取得することが出来ました。

資格を取ることが出来たということは、ようやくスタートラインに立ったということなんです。

ますます、日々精進、アップデートをしていかないと、

お客様のお役に立つことが出来ないと痛感しています。

学びにゴールはありません。

いろいろな方にお世話になりながら、日々学んでいきたいと思っています。

このようなことが出来ることは、靴屋としてやってきてよかったなあと感ずるところです。

私の仕事は、靴を売ることではなくて、

お客様の足に合った快適な靴を提案することで、「快適な歩き」を提供することだと思っています。

お客様との共同作業で、本当に快適な歩きを提供できるんだと思っています。

 

最近は、お医者様にも助けていただけることが増えてきて、感謝の一言しかありません。

シューフィッターとしてお客様の足を拝見している中で、

治療をした方がいいかなって思われる方も時々お見受けします。

そのような時には、すぐにご紹介できる先生がいていただけることは、

心強い限りです。

先生方からもアドバイスをいただけるので、本当に心強く感じています。

時代が大きく変わってきたことを実感しています。

お医者様と連携が出来るということは、

責任を感じつつも、やりがいがあることだと思っています。

 

子どもの足の健やかな成長を助ける靴選びのお手伝いをすることとともに、

いつまでも自分の足で、歩けるための正しい靴選びと正しい靴の履き方、

日常で出来る運動のアドバイスもさせていただくことも、

重要な仕事だと思っています。

マスターシューフィッターの認定証
マスターシューフィッターの認定証
証明証とバッジ
証明証とバッジ

足掛け3年にわたる挑戦でしたが、挑戦してよかったとつくづく思っています。

そして、ますます知りたいと思うことが増えてきたことと同時に、

分からないこと足についての疑問も、増えてきました。

それと、本当に「シューフィッティング」の難しさも痛感しています。

まだまだ、勉強あるのみですね。

 

それとともに、まだまだ認知度の低い「シューフィッター」の認知度を高めていく活動も、

続けていかなければならないと思っています。